功山寺総門をくぐると、そこには別の世界がある。足音は土に吸われ、時は停止する。参道から見上げる山門の壮麗さ、山門を通して見る国宝の仏殿の微妙な曲線。
 毛利勢に追われて無念の最後を遂げた大内義長。三条実美ら五卿潜居や高杉晋作の挙兵。幾度かの動乱を見守って来た仏たちのつぶやきに心すまし耳を傾けよう。
 春は桜の花に、また秋は紅葉、萩の花にと四季を通じて美しい自然のたたずまいの名刹功山寺を訪れる人は多い。その人々を国宝仏殿の本尊、千手観音は大慈大悲・広大無辺の心の暖かい眼差しで見守ってくださるのである。

■仏殿拝観期間・仏殿拝観料
【拝観期間】
2012年〜2014年
 春期:3月15日〜6月15日
 秋期:9月15日〜12月15日
【拝観時間】
 9時30分〜16時30分(最終受付)
【仏殿拝観料】
 一般/500円 (団体20人以上:400円)
 仏殿・法堂・書院等の総合拝観:一般/700円
 (※小・中学生は無料)

国宝仏殿開扉式典の様子

二十八部衆立像 -市指定文化財-
 
■公開・秘仏の紹介
仏殿 -国宝-  昭和28年11月14日指定
 寺伝に嘉歴2年(1327)創建、仏殿南側来迎柱の上部に「此堂元応2年(1320)卯月5日柱立」とあり、鎌倉時代末期に建立された典型的な唐様建築(禅宗様)です。
 方3間の身舎(主屋)に裳階をつけた入母屋造り、檜皮葺きの屋根はみごとな曲線を描き、上昇感が抑えられた安定した美しい姿を見せる。外廻りの組物は詰組で屋根を支える化粧垂木は放射状に広がり、内陣は丸山晩霞が石楠花を描いた鏡天井、床は四半瓦敷きで木製の礎盤の上に粽型の槙材の柱列が並び、本尊の千手観音像を安置する。扁額「金山」は後醍醐天皇の勅額という。
千手観音菩薩座像 -市指定文化財- 昭和61年11月10日指定
 中国観音霊場19番礼所の本尊。わが国の千手観音信仰は天平時代からで、この寺は古くから長門国の観音信仰の中心として庶民に崇拝され、境内の御山33観音に詣でる人も多い。玉眼の目尻をつり上げきっちり結んだ唇、端正で写実的なこの像は仏殿建立と同時期の特徴をもち、檜材の寄木造りで、頭頂に仏面、天冠上に11面の菩薩面を配し、寺伝では京仏師雲渓作という。
韋駄天立像 -市指定文化財- 昭和61年11月10日指定
 寺中守護仏として古くから庫裏入口に安置されていたこの像は檜材寄木造りで、宝輪型の頭円光をつけ甲冑を身にまとい岩座に立つ。童子を思わせる端麗な面相、甲冑衣文、などの彫法は複雑で写実的です。鎌倉、南北朝期の保存の良い貴重な作品で、邪神を滅ぼす韋駄天は、走力に優れた天軍の将で、中世以降禅宗寺院の庫裏に多く祀られた。
二十八部衆立像 -市指定文化財- 昭和61年11月10日指定
 功山寺には二十八部衆のうち23躯が現存し、仏殿の千手観音の眷属として安置されていた。「永正十七庚辰臘月」の墨書銘があり、室町時代1520年12月制作されたことが判る。これらの像は形式、表情などから鎌倉時代の特徴をもつが、墨書銘から室町期の仏殿改修時に制作されたものと推定される。
 檜材の寄木造りで岩座の上立ち、阿修羅像、吉祥天、神母天、五部浄、婆薮仙人などの尊名は判るが持ち物、手首などを失っているものが多い。
■交通のご案内
●交通のご案内
  JR下関駅から長府方面行きバス、
JR長府駅から下関方面行きバス、
またはJR新下関から城下町長府経由下関駅行きバス乗車、城下町長府バス停下車バス停より徒歩12分。
-皆様のご拝観をお待ち申し上げております-